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 池内 紀氏翻訳 カフカ『変身』 [小説]





 ワールドカップに毎日(毎夜、ではなく(^_^;)入れあげて、少々、疲れ気味。 なんて、ゲーム観戦ならしかたがないけれど、終わった(ハズの)日本代表について、あちこちから煙が上がりつつあるようで、つい、野次馬根性を出して見に行ってしまうから。私って馬鹿。

 で、気分を落ち着かせるために、少し前に買っておいたこの本をとりだして、読んだ。

変身―カフカ・コレクション

フランツ カフカ Franz Kafka 池内 紀 白水社 (2006/03)






 池内紀氏の翻訳シリーズ。こういうのもブランド志向というのかな。でも、長年の氏の仕事がいいからこそ、一定の評価を得ているんだものね。 カフカの名も、少し前に出た村上春樹の『海辺のカフカ』で、かなり知れ渡ったんではなかろうか。私の中高生のころは、必読書に指定されていたものだったけど。


 で、高校生くらいのときに一度、読んだ(というか読まされた)と思う。けど、内容はすっかり忘れてた。とはいえ、 「朝、目を覚ましたら虫になっていた」 というフレーズは、書名すら出てこないような人でも知っているのではないだろうか。SF的な発想と思いきや、淡々と物語はすすみ、意外な結末でおわる。意外、というのは、さまざまな物語に慣れた現代人にとって、という意味で、あっと驚くオチ、ということじゃない。


 そのオチは、なんとも後味がわるい。けれど、妙な味わいもあって、どっちとも整理できない気持ちが渦巻く。人間てのは、いつも、どこでも、変わらないものなんだな……。


 中学生の娘にも読ませたいと思った。短編だし、ひねった表現が出てくるわけでもない。池内氏の訳文はこなれていて読みやすい。多分、学生のころに読んだとき、??? だったのは、(わかりにくい)訳文のせいもあったのでは、と思う。言い訳? 少しばかり当時のヨーロッパの生活ぶりに理解しがたい部分があるものの、巻末には親切に解説や著者の記録がのっているので、読解の助けになる。 まぁ、中学生には、深いところまでは理解不能だろうな、とも思う。「何がいいたいのか、わからない」とか言われそう。それ以前に、「虫、気持ちワル~イ」と敬遠するかも。なるべく、“親しみのある”虫を想像しながら読むといいよ、と助言することにしましょう。(^_^;


 ところで、著者のカフカは、チェコはプラハの出身。当時は、オーストリア帝国領ボヘミア王国と呼ばれた地域だったらしい。コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』シリーズに、『ボヘミアの醜聞』という話があって、私はこれでボヘミアという国を知りました。(^_^; この辺りの複雑な歴史は、折しも、前回のエントリーとも関連して、平和ボケと言われる日本人の私に、少なからずショックを与えてくれる。


 もっと勉強しなきゃ。 ↓この本も参考になりそう。





サッカーが世界を解明する



フランクリン フォア Franklin Foer 伊達 淳 白水社 (2006/05)





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