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 『スイート・ホーム殺人事件』 [ミステリー、SF]





 な~んか、こんなことってあるんだなぁ、という気持ち。べつに霊感も第六感も持ち合わせてないんだけど。(前のエントリーで、極度の怖がりで怪談が読めない、見られないと書いたように、そもそもそういう能力が欲しいと思ったこともない)


 何かといえば、ハヤカワ文庫の目録を某所でちょくちょく読んで(見て?)いて、面白そうな本はないかと物色しているのだけれど。

 今日、目に付いた本がこれ。



 クレイグ・ライスの本は、昔、解説を書いている小泉喜美子さん存命のころに、オススメの文章を読んで、ちょこちょこと買って読んでいた。小泉さんがミステリーを書きたいと思って、でも本格物なんて無理、とこぼしたら、某評論家氏(だったか作家さんだったか)が、「ライスでいいんだよ」と言ったとか。

 それはコメディで行けという意味ではなく、(妙ちきりんな)本格トリックをひねり出すためだけに時間を使うな、“物語”のほうに力を入れろ、ということだと理解したのだが、喜美子さんの作品のように“人の心の動き”がそのままミステリーにもなる、ということだったのかもしれない。


 さて、この『スイート・ホーム殺人事件』、表紙も変わっていて、ちょっといい感じ。

 実家の書棚を探せば出てくるような気がするけれど、見つかったとしても、娘にオススメするとしたら、ページが焼けて色あせているような古びた本は厭がりそうだし――私はむしろ、そういう“歴史”のある本が好きだったけれど。書棚の奥に積んであった埃だらけの本とかね――、買い直してもいいかも。

 ……と考えていたら、なんと! 新訳本が出るらしい。



 このところ、いわゆる“名作”として残したい、という作品を、新たに訳し直して出す、という例が増えている。どういう基準で選ばれるのか分からないけれど、これはチャ~ンス!?

 というか、なんという偶然。


 いや別に、新訳本と聞けば、目録云々なんてどーでも、単純に飛びついたかもしれないけどね。


 『ハサミ男』文庫版 [ミステリー、SF]





 見てから読むか、読んでから見るか。

 昔、そんなキャッチコピーが世間を席巻していた。角○書店が映画を作っていた頃。(コピーは逆だったかも)

 その差は結構、大きいと思う。


 2年前にDVDを見たことで、娘の方がハマって(?)しまい、この文庫を買ってきて読んでいた。「映画とは、ずいぶん違うよ~」というのが、当時の娘の感想だった。

 私は映画を見て満足し、そのままになっていた。

 今回、再度、映画を見直して、ちょっと読んでみる気になった。

ハサミ男 (講談社文庫)
殊能 将之
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 映画を先に見てしまったので、トリックを暴く楽しみ、犯人捜しの楽しみは無し。――もっとも、原作と映画版では犯人が違う、なんてこともあるので、それなりに心の準備(?)はしてましたが。

(ネタバレ注意)



 「メフィスト賞」ものは、内容優先で文章そのものは今イチ、といった印象。なので、“本読み”を自称する者としては、少々物足りない。

 まぁ、その辺はデビュー作ということもあるのだろうけど、文章が描写というより説明的で、本の中の世界へ入りづらい。

 とくに主人公の一人称の章は、トリックの一部ということもあるのかもしれないけれども、パーソナリティを感じられないので、殺人も自殺願望もピンと来ない。トリックとしてはフェアなのだけれど、抑制しすぎたのか、単に技量不足なのか……。

 むしろ、三人称で書かれている警察でのやりとり、刑事たちの話のほうが生き生きとしていて、作者も楽しんで書いている感じがした。


 クライマックス、犯人が判明して展開が早くなるところは映画とほとんど同じ。ただ、唐突感は否めない。え? いきなりここで? という思いを抱く。

 そしてラスト。映画がより人の心の深層にまで迫る勢いだっただけに、この結末かよ~、と。

 結局、チカはどういう人間だったの? とか、これからどうなるの~、といった疑問が解決されないまま、断ち切られた感じ。


 まぁ、トリックを楽しむタイプの小説なのだろうから、これ以上、ケチを付けるのは間違いだろう。映画を先に見てしまったから、その映画を楽しんでしまったからこその感想かもしれない。


 『翼のある子供たち』 ランダムハウス講談社文庫 [ミステリー、SF]


 書評欄でタイトルを見たとき、児童書? とも思ったのだけど、内容を読んで、これは違うわ~と。一応、SF、娯楽小説(といって古ければ、エンターテインメント)。



全米ベストセラー作家が放つ超絶サスペンス

その翼で生きのびろ!

軍事施設から逃げ出した、翼を持つ少女。彼女が明かした身も凍る人体実験とは……



 う~ん、どうも最初、抱いたイメージとはずいぶんかけ離れてきたような……。ちょっと前にテレビで放映してたアメリカ産アクション&サスペンスの「MAX」=「ダークエンジェル」に近い設定かな。


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翼のある子供たち
ジェイムズ・パタースン著 / 古賀 弥生訳
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 『死神の精度』 伊坂幸太郎 [ミステリー、SF]


 出ましたね~、伊坂幸太郎の新刊。

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伊坂 幸太郎
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 今度は短編集。“死神の見た6つの人間模様”だそうですから、尚そそられる~。

 短編集はもともと好きで、井上雅彦さんがよく編んでいるアンソロジー(たとえば、『グランドホテル―異形コレクション〈9〉』や『十月のカーニヴァル―異形コレクション綺賓館〈1〉』など)とか、古川日出男さんの『gift』という、超短編集(掌編集というんだそうで)は、とても楽しめた。

 短編集のよさは、手軽に読めて、でもしっかり楽しめる、というところ。もちろん、大長編も別の楽しみがあるんだけれどね。

 実を言えば、伊坂さんの短編はまだ読んだことがない。一般的に、長いものが得意な作家、短いものが得意な作家、と分かれるけれど――読み手の好みの問題もあると思うけれど――この人は、さあどっち?

 なぁんてね。この人の、さらさらと頭に染みこんでくる美しい文章が好きなので、長短あまりこだわらないほうが良いかもしれない。


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 『gift』不可思議な世界へ連れて行ってくれる [ミステリー、SF]





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古川 日出男

 短編集。というより、ショートショート。Amazonの紹介欄には掌編集とある。

 あの『アラビアの夜の種族』のあとに出た本なので、唐突にエンドがやってくるたびに、肩すかしを食らった感があった。

 けれど、中身は抜群に面白い。

 それぞれユニークな登場人物、場所、お話が満載で、期待を裏切らない。

 私の好きなのは最初の「ラブ1からラブ3」。

 妖精の足跡現る! それをビデオテープに収めようと張り込む。ミステリアスな設定が、短い間に二転三転する、ゾクゾク感。

 その他の話も、それぞれ趣向を凝らしてあってバラエティに富み、一筋縄ではいかない。

 作者の才に感服。すでにファンだけど、度数が上がった感じ。。


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