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 『テンペスト』 池上 永一:著 [小説]





珊瑚礁王国の美少女・真鶴は性を偽り、宦官になる―。

テンペスト  上 若夏の巻
池上 永一
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★キーワード:テンペスト 上 若夏の巻


 男装の美女(というより美少女だが)と言えばトキメクけど、“宦官”は……。ちょっと引っかかってしまった。古い歴史映画とか、三国志などの小説、あるいは横山光輝先生の中国ものに出てくるような、ちょいと腹の出た、服装だけはきらびやかな、皇帝におもねる中年役人(?)、というイメージが強すぎて。

 少し、その辺で、感覚、センスの違いのようなものを感じたのだけど。

 それはともかく。

 痛快冒険活劇?

 になりそうな雰囲気を持つ物語。

 琉球王国という、ごく近いのに、なじみの薄かった国のお話。面白くないはずがない!

 美少女真鶴に対して、美少年のライバルが出てきたり、厳しい師匠、オモロイ師匠、実にキャラクターが多彩。このままコミックスのようだけれど、本当に“絵”にしたら豪華絢爛で楽しいだろうな。そう思わせる。


 ――のだけど。

 途中でダウンしてしまいました……。

 年末で気分的に慌ただしかったのと、図書館で予約したのはいいけれど、次に待ってる人がいて継続ができない、というのが何となく急かされているような気がして。(こんな分厚い物語、2週間では読み切れませ~ん)

 それと、主人公たちが書く“候文”が、所々に添えられているのだけど、これをいちいち読んでいると、とたんにスピードダウンする。えっと、話はどこまで行ったっけ?

 琉球の歴史を教えてくれると思えば仕方がないのだけど、どうにも焦れったくて、ここで引っかかってしまう。

 今どきの本らしく?軽い描写が楽しくもあるのだけど、妙に細かくねちっこい所もあって、そういう箇所では、やはり展開がスピードダウンする。

 エンタメではある。けれど、じっくり読み進むに越したことはない。その辺のバランス、スピード感が、どうも合わない。


 というのも、途中で置いた理由かな。

 単にトシなのかもしれないけどw

 もう少し、気持ちと時間の余裕が出来たら、図書館でもう一度借りて(オイ!)読み直そうかと。(このままになりそうな感もあり……)


テンペスト 下 花風の巻
池上 永一
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 『14歳からの社会学』 [論説本]





 宮台さん、いつの間にこんな本を?

 しかし「14歳からの~」というタイトル、増えてますね。

 池田昌子さんの哲学啓蒙書(『14歳からの哲学』)から始まったような気がするけれども。(以前に書いたエントリー

 宮台氏は以前から、コギャルだったり、16歳の自分のフリーク少年について書いていたりと、子どもに関しては、縁がなかったわけではないとはいえ。


14歳からの社会学 ―これからの社会を生きる君に
宮台 真司 (みやだい しんじ)
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★キーワード:14歳からの社会学 ―これからの社会を生きる君に


 うちの娘にオススメすると、もう14歳じゃないよ、と返ってきた。『14歳からの哲学』が出たころは、ジャストだったんだけど、あまり関心がないようで残念だった。当時、学校で教師だったり同級生だったりのことで悩んでいたはずなのになぁ。


 『源氏の男はみんなサイテー』 [論説本]





 まえから読みたかったのだけど、ようやく図書館で予約して手に取ることが出来た。

源氏の男はみんなサイテー―親子小説としての源氏物語
大塚 ひかり
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★キーワード源氏の男はみんなサイテー―親子小説としての源氏物語


 ずいぶん古い本ではあるので――大塚ひかり氏は、とうとう源氏物語の訳本を出してしまったね――今さらな箇所があるかと思いつつページを開いたのだけど、どうしてどうして、今も充分、通用する内容だった。

 というのも、これはタイトルこそ過激だけど、内容的には副題の「親子小説としての源氏物語」がテーマ。(つまり、サイテー男たちの弾劾が目的ではなくて、なぜサイテーになったのか、その原因、遠因を親子関係に眼を向けることで探る、という形になっている)

 その“親子関係”に眼を向けてみれば、今に通じる関係性が、次から次へと出てくる。折しも千年紀。なにやら因縁めいたものを感じるほど。(そういう意味では、やはり源氏物語は、永遠に残りうる文学なんだなぁと認識を新たにした。)

 元来、恋愛を主体とした小説は苦手で、そうした視点で読むと、源氏物語ほどサイテーなストーリー、登場人物はない。(だからこそ、長らく、ちゃんと読まなくちゃな~と思いつつ、つまみ読みしかできなかったのだけど)

 だが、主要キャラクターに、親から受けた影響、環境といったものを配置してみると、紫式部の人間への深い考察が浮かび上がってくる。すごい。



 私は図書館で単行本のほうを読んだのだけど、文庫版は表紙が違うのね。イメージもずいぶん、違ってくるなぁ。


源氏の男はみんなサイテー (ちくま文庫)
大塚 ひかり
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★キーワード:源氏の男はみんなサイテー (ちくま文庫)


 大塚ひかりさんの訳した源氏物語。今は2巻まで出ている様子。最終刊が出るのは来年の秋~夏だったかな? とにかくそれくらいまでかかるようです。


源氏物語〈第1巻〉桐壺~賢木 (ちくま文庫)

筑摩書房
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★キーワード:源氏物語〈第1巻〉桐壺~賢木 (ちくま文庫)


 『サッカー批評 issue41』 [サッカー]





 図書館へ行ったら、雑誌のコーナーに『Number』が置いてあった。表紙(中村俊輔)に吸い寄せられてページをめくっていったら、オシムのインタビューが載っていた。かなりの人に読まれたのかページがよれていて読みづらかったので、購入することに。

★キーワード:Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2008年 12/11号 [雑誌]


 Amazonで調べたら、こちらにもオシムの談話が載っているらしい。

★キーワード:サッカー批評 issue41―季刊 (双葉社スーパームック)


 『サッカー批評』は、比較的硬派な、権力者?におもねらない記事が多くて、好感を持っている。これも、なかなか辛口な記事やコラムが多くて、興味深い。

 オランダのユース・コーチをしていた人の談話は、オシムが代表監督だったころに口にしていたことや、オシムが練習や試合で実践しようとしていたことと合致していて、今さらながら納得。

 状況判断力が低い。

 戦術眼が養われていない。

 GKが組み立てに参加しない。

 考えながらプレーしていない。

 +

 指導者と育成が変わらないと、さらに前進はできない。


 つまりは、

 「今のままでは日本は“ワールドカップで決勝進出"は不可能」

 に繋がるんだろうな。




★追記:

asahi.com(朝日新聞社):オシム氏、日本サッカーを語る - スポーツ

 


 「のだめカンタービレ」映画化だって [映画]





のだめカンタービレ:上野、玉木のコンビで2作連続の実写映画化 テレビ版第3シリーズも(まんたんウェブ) - 毎日jp(毎日新聞)

 アニメ化しやすい絵柄ではあると思うけれど、これは実写版が面白かった。

 実写版でなければ、やはり原作のコミックスが一番(あたりまえ?)

 なので、アニメ版は見る気がしない。

 映画化といっても多分、映画館には足を運ばず、DVDになってから見る(レンタル!で)と思う。

 でも、ドラマ版がそうだったように、面白そうではある。玉木宏のファンでもあるので(!?)


 『コドモのコドモ』~子どもたちの演じる妊娠出産 [映画]





 テストが終わったから映画でも、と高校生の娘に誘われて「シネマテーク」へ。

 正直、誘われなければ、見に行こうなんて思わなかった。これが問題作(と見てから聞いた)だからではなく、単にこの手の映画にうんざりしているから。

 ましてや妊娠、出産するのが11歳だなんて。平安時代でもあるまいに (最近、源氏物語と周辺本にハマっているんです) ロールプレイングか?

 なんて考えながらも、そこそこ楽しめたのは、久しぶりに行った小さな昔風の映画館の、“劇場効果”もあったのかもしれない。それに、テーマとしては、うんざりなんて言ってちゃ駄目で、いつの時代もきちんと描かれるべき事柄だろうし、と。

 主人公の春菜とクラスメートたちとのやりとり、春菜や他の生徒たちと担任の八木先生とのやりとりに、ケラケラ笑っている娘を見て、これはタイトルどおり、“コドモの”映画、“コドモの”ための映画かもしれない、と思えてくる。

 小学生の高学年ごろに、女性の月経などについてのビデオやフィルムを見せると思うのだが――最近の事情はよくわからない。男の子の説明もあるのかな――、内容的には、それに使えばいいのでは、と思った。

 ちょっとやり過ぎか。

 でも、自分たちと同世代が、妊娠・出産を演じてみせるのは、子どもたちにはむしろ分かりやすいのではないだろうか?


 ――と考えて、ちょっと腑に落ちた。映画の中で、学芸会で春菜のクラスがシェイクスピアの『真夏の夜の夢』を演じるシーンがあるのだけれど、この映画そのものを“子どもたちが演じている”としたら……。

 ちょっとややこしい言い方になったけれども、そう考えれば“小学生が妊娠・出産する”なんてことも、とくに問題ではなくなってくる。それこそ、セックスを“くっつけっこ”と称しているように、その後の経過も“ごっこ”だったのだと思えば。

 でなければ、これほど突っ込み甲斐のある、よくいえば深読みをさせてくれる映画もないよなぁ、と。


 反対派というか問題視する人たちが言いたいのは、まず“小学生にセックスなんて”といったところだろうが、それに加えて、“小学生が妊娠するかい”“出産できるかい”、それも“安産なんておかしい”といったあたりだろう。

 少し前にTVドラマで『14歳の母』というのを放送していたが、娘によると主人公の出産は、帝王切開だったらしい(私は見ていないので)。まぁ、いくら最近の子が発育がいいといっても、女性としての身体、機能は出来上がっていないと思われるので、当然だろう。

 (その点で、春菜のおばあちゃんが口にする、準備の出来ているところに、赤ちゃんはやってくる、といったような言葉は、ちょっと気になった。春菜を励ます言葉だとはわかるけれども、いみじくも“パパ”になるヒロユキ自身が、両親にとっては、「なかなか授からなかった子ども」だったように、世の中には不妊で苦しんでいる人たちも大勢いる。そうした人たちへの配慮が欠けた言葉かと。 私自身も「二人目不妊」だったので、余計に引っかかってしまった)


 どこかの評にあったように、ファンタジーと思えば、まぁマンガチックではあるけど――原作、漫画でしたっけ――、わるい作品ではない。子どもたちが団結して、一つのことを成し遂げるのを見ていて、感動しない人はいないだろう。

 ただそれが、その結果が“赤ん坊”=1人の人間の誕生、なので、(いくらファンタジーでもなぁ)と、なんとなく歯切れの悪さを感じるだけだ。

 そしてこのファンタジーぶりは、田んぼや畑の残る、祖父母と3世代同居という家庭のある田舎町のできごととして描いたからこそ、醸しだされるのだろう。(実際、生まれた赤ん坊を囲んで、“関係者”=春菜はもちろん、“パパ”も両親も姉もおじいちゃんも、そして八木先生までも、が宴会をするシーンが――って、これがラストだっけ――ある)



 あと少々、思ったこと。

 「暇~」と呟く主人公の春菜は、『千と千尋の神隠し』の千尋みたい。

 最初のころの春菜の口癖?は、「シネ(死ね)だし」&「チョー、ウケル(超、受ける)」。 気に入らない人や物事に死ね死ね口走ってる者が、命を授かる皮肉。

 ジェンダー教育、きちんとした科学的(?)性教育に熱心な先生が、そのことで自分自身を縛ることになり、テンパって子どもたちの話を聞けなくなっていく皮肉。そうして、子どもたちに反抗(というか無視)される皮肉。

 「あんたたちのことは全部、わかってる」というお母さんが、「あたしのここから出てきたんだからね」と自分の腹を叩く、ちょっと臭いシーン。(こういう表現、コミックスにはよくあるよな~と)

 春菜の秘密を見つけ、応援するよと言うおばあちゃん、「子どもは宝だ」と愛おしそうに赤ん坊を抱いて言うおじいちゃん。う~む、ちょっとボケ気味のおじいちゃんはともかく、おばあちゃんが応援する側に廻るというのは、理想的すぎないか? そこがファンタジーたる所以とも言えるけれども。

 そうして、春菜を元気づけた直後に、倒れるおばあちゃん。予想どおり。やがて入院したまま亡くなったらしい、ということを“1年後”の描写で知らせ、さりげなく“命のリレー”を伝えている。ただ、問題は、それこそ子どもたちにこれが伝わるかどうか。

 子ども力、老人力、なんて評価の載った新聞記事の切り抜きが、シネマテークの壁に貼ってあったけれども、これもある意味では、よく耳にするフレーズだよな~と。結局、そこかよ~、みたいな。

 あと、おばあちゃん役に草村礼子さんが扮していたけれども。遠景、バストショットまでは、らしく見えるのだけど、春菜との会話のシーンでアップになると……う~ん、美しすぎる(笑)。田舎のおばあちゃんには見えない~。




 ……と書いたあとで、試しに検索してみた。

 ら~、映画を見もしないで“感想”を書いてる人の多いこと!

 見ていないのなら、断罪するような書き方は慎むべし、だよね。てんで的外れだったら、恥を掻く羽目になる。

 こちらで、似たような感想を見つけた。

 こんな記事も。

映画/“子供の妊娠”にPTAから質問殺到! 『コドモのコドモ』ママさん試写会開催 - cinemacafe.net

 ↑ちょっと能天気な気もするけれど、頭ごなしに反対! とやるよりは、映画を見ての感想だから、オーケイかな。


 『雪の結晶』 [書籍、雑誌]





 図書館の新刊棚にあった。表紙の写真に吸い寄せられて、思わず手に取った。


雪の結晶
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 この手のタイトルで読んだのは、結晶を集めた写真集のようなものか、生物の教科書みたいに科学的な詳細を書いたものか、そのどちらかだった。もちろん、樹氷のでき方とか霜の降り方などといった“冬の解説書"めいたものにも写真は添えられている。でも、白黒の写真とカラーでは、いくら“雪"でも、やはり違う。

 一つ一つ、形の違った結晶の、カラーの美麗な写真に、結晶の名称や出来かた、そのときの気候、条件などといった事柄が、易しく、丁寧に解説してある。見ていて楽しい、読んでいて楽しい。そんな本。

 啓蒙書(?)なのだけど、写真集としても読める。薄い本ではあるけれど、だからこそ、何度もページを開いてしまう。

 気持ちが沈んだとき、あるいはテンパリ気味なとき、この青と白の世界へ飛び込むと、降り積もる雪の日の静けさのような、静謐な世界に来た気がする。

 今が寒い季節であるにかかわらず。


 こちらは、ブックポートという、本のオススメ小冊子で知った。まだ手にとって見たわけではないのだけど。図書館で予約してこようかな。

Snow Crystals (Dover Photography Collections)
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 それにしても、Amazonでこの本を調べていたら、関連本として雪、あるいは結晶に関する本がズラリと出てきた。どれも綺麗。目移りしそう。

 オススメ本を順にクリックして眺めているだけでも楽しいけどね。



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