“マイケル・サンデルと政治哲学” [論説本]
NHKで放送された「ハーバード大学白熱教室」が話題になっていたサンデル教授。近いうちに来日もされるとか。
教育チャンネルで再放送されていたものを(全部ではないけれど)見たけれど、ユーモア溢れる話ぶりや、学生たちの議論を裁く奉行ぶりが、人気になる理由かなぁと。
その学生たちの議論も面白かった。
サンデル教授の「正義~」は積ん読状態。購入したけど、まだ手を付けていない。
bk-1から来た↑特集の案内に載っている関連本も、どれも興味を引かれるけれど、読む時間があるかなぁ。
いや、時間はあるけれども、気力、体力が続くかしらん、と自分のことながら心配。
とりあえず「正義~」に取り組んで、それから順に図書館に予約を入れていこうと、思ってはいるけれども。
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★はてなキーワード:これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学
『勝間さん、努力で幸せになれますか』という本が出るらしい [論説本]
カツマさん、無駄に元気やなぁと思っていた。アエラを読んでいたころのこと。
この人は、頭痛だとか貧血だとか低血圧だとかアレルギーだとか、そういった症状とは全く無縁なんだろうなぁと。
「やれば出来る!」と断言できちゃうエネルギーは凄いと感心していたけど、そういうのって、気力はおいても元になる体力が必要なんだよね~、とも思っていた。
- 作者: 勝間和代,香山リカ
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2010/01/08
- メディア: 単行本
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こんな本が出るそうな。
内容を先取り?したような対談サイトがあって、覗いてみたのだけれど――アエラ読みをやめたすぐあとに対談があったようで――、「料理? しますよ~」というカツマさんの発言からは、やっぱりアレルギーだとか、そういったものとは無縁なんだ、と確認できた。(論点が違う? でもね……私にとって基本は“そこ”だから)
しがみつかない生き方―「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール (幻冬舎新書)
- 作者: 香山リカ
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2009/07
- メディア: 新書
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そもそも、香山リカさんが何で勝間さんにこだわる?
幼少時代から感じていた行きづらさを「言葉」にしてくれた=そうしたタイプの人間がいるのだ、それは社会のあり方とも関連しているのだ、と教えてくれたという意味で、私は香山リカ派(?)なんだけれど。
だから、香山さんがカツマさんを意識したような本を出されたときには、驚きつつも、納得できる面もあった。
◆「ふつうの幸せ」に答えはあるか | AERA-net.jp◆
やはり、いろいろな意味で“やれる人”“出来る人”の代表、アイコンとして取り上げた(“だけ”な)のだ、という話のよう。
たしかに分かり易い。こうした“今”が旬な人は、語りやすい。(それこそ“今”しか通用しないけれども) まして、香山さんが扱ってきた人たちと、対極にあるような存在だから。(心の中で、そうした人間たちを呆れて見ているのではないか? と。つまり、私のような香山さんの著作に救われているような人間を、どうしようもないわね~、と一掃しそうなくらい“元気”=活動的な人ってことで)
まぁ私自身はトシだから、今さらカツマさんを目指そうなんて思っていないし、やれもしないけれど、これから社会に出て行く娘のことを思うと、気になる本ではある。図書館へリクエストを出しておこうかな。
『関係する女 所有する男』 斎藤 環 [論説本]
図書館で借りて、ギリギリ読了。早く返しに行かないと。(苦笑)
感想をひとことで言えば、面白かった!
タイトルが、例のベストセラー本、『話を聞かない男、地図が読めない女』をもじったものであることは明白だけれど、売らんかなの戦略だけではなかった。むしろ、この本のテーマそのものであることが分かって、ビックリ。
ええんか? そんな風に断定してしまって。
でも、こちらの“区分け”は、生物的に脳みそがそうなっている、ということではなく、社会的に、そう育てられた存在、そう教育された存在、という意味合いらしい。
ある意味、目からウロコ的なキーワードだと思った。
分かり易いし(笑)。
第1章、第2章あたりで、脳論のような、単純な男女の区分けによる性質の違いを述べてしまうこと、それにさらにジェンダーを絡めて論じてしまうことに対して、批判を加えている。その辺は痛快。
ただ……。今やトンデモ認定されているらしい『~地図が読めない女』だけれど、巻末の方に“男脳度、女脳度を計るアンケート”が添えられていて、著者たちだけでなく、日本の訳者もトライしている。結果は、それぞれ現実の性とは関係なく、“脳度”が反転してしまったことが載っている。
日本人の女性の訳者も、「男脳度70%と出てしまった」と書いている。
私もやってみたのだけれど、この訳者と同じように、男脳度のほうが高く出てしまった。
これは一体どういうこと?
当時は、気楽なネタ本として読んでいたから、さもありなん、と安易に考えていたけれど……。つまり、ここで語られている男脳女脳というのは、社会的に形作られた“男性的(女性的)だと考えられている行動や思考形態”のことなのかと。
翻って『関係する女~』。
文中で単に「女」と書かれてしまうと、どうしても自分自身を含めて現実の、外見的、生物的な女性、を思い浮かべてしまう。難しい。
先程も書いたように、ジェンダー論なので、そうした“女性”がいかに狭い枠にカテゴライズされてきたか、そうしむけられて――教育されてきたか、と言いたいのだとは思う。
ただ……。第3章(第4章だったか)あたりの、著者の専門、精神分析を用いた論考になってくると、少々付いていくのが大変。
というのも、そもそも西洋から来た「フロイト」「エディプス・コンプレックス」「ファロス」「去勢」等々のキーワードで語られる現象が、よく分からないから。
現代の日本には当てはまるのだろうけど、近代以前の日本にも当てはまるのだろうか。
おかみさんが強かったと言われる、お江戸の男性陣にも当てはまるのだろうか。食事の支度、育児もせっせとこなしていたと言われる、江戸町民の夫たちにも?
……歴史物をせっせと読んでの勉強中なので、それこそトンデモなことを書いているのかもしれない、と思いつつ。
もちろん、現代の人々の「行きづらさ」を視野に据えての論考なのだろうから、そうしたツッコミは的外れなのかもしれないけれど。
- 作者: 斎藤環
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などと書いてきたけど、別に批判しているわけではなく、こうした新しい切り口で、“ジェンダー”なるものを論じられるのは、新鮮だしありがたいと思う。
昨今、流行(?)の“脳みそ中心に物事を考える”風潮に、釘を刺したという意味でも、なかなか楽しいし。
あと1つ。村上春樹の『海辺のカフカ』で、図書館でのフェミニスト2人連れがやってきて、一悶着起こるシーン。
彼女たちの、やや冷酷な描写と、同じく冷たい大島さんの応対。自分としては、大島さんというキャラクターは好きなのだけれど、ここでの“彼女”の言動には、少しばかりモヤモヤ感があった。
その辺を、村上春樹のフェミ論者に対する態度が出ている箇所だ、と談じているのは、なかなか興味深かった。
そっか、ハルキはフェミニストが嫌いだったのか……。
『文芸誤報』から読みたくなった本2冊 [論説本]
斎藤美奈子氏の、鋭い、でもユーモアのある切り口が好き。
これも、その時々に出版された本、話題になっている本を取り上げて(週刊誌に連載されていたものを集めた本らしいので)、すぱっと“ひと言感想”を述べられている。それ以下の文章は、付け足しといってもいいくらい、ズバリ核心を突いているので、感心してしまって、むしろその本が読みたくなるほど。
もちろん、やりこめているばかりではなく、評価すべき本はきちんと読みどころを示して、お薦めしてある。
そうした本を2冊ほど、図書館で借りてきてのだけど……。ちょうど体調が低下しているときだったので、結局、時間切れで返してしまった。
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こうしてAmazonで見てみると、結構、いい評価。さすがは斎藤氏ということか。
あらためて、もう少し心身に余裕のあるときに借り直して、完読してみるかな。
↓文庫版。
★キーワード:オテル モル (集英社文庫)
★キーワード:ぼくが愛したゴウスト (中公文庫)
『14歳からの社会学』 [論説本]
宮台さん、いつの間にこんな本を?
しかし「14歳からの~」というタイトル、増えてますね。
池田昌子さんの哲学啓蒙書(『14歳からの哲学』)から始まったような気がするけれども。(以前に書いたエントリー)
宮台氏は以前から、コギャルだったり、16歳の自分のフリーク少年について書いていたりと、子どもに関しては、縁がなかったわけではないとはいえ。
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★キーワード:14歳からの社会学 ―これからの社会を生きる君に
うちの娘にオススメすると、もう14歳じゃないよ、と返ってきた。『14歳からの哲学』が出たころは、ジャストだったんだけど、あまり関心がないようで残念だった。当時、学校で教師だったり同級生だったりのことで悩んでいたはずなのになぁ。
『源氏の男はみんなサイテー』 [論説本]
まえから読みたかったのだけど、ようやく図書館で予約して手に取ることが出来た。
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★キーワード源氏の男はみんなサイテー―親子小説としての源氏物語
ずいぶん古い本ではあるので――大塚ひかり氏は、とうとう源氏物語の訳本を出してしまったね――今さらな箇所があるかと思いつつページを開いたのだけど、どうしてどうして、今も充分、通用する内容だった。
というのも、これはタイトルこそ過激だけど、内容的には副題の「親子小説としての源氏物語」がテーマ。(つまり、サイテー男たちの弾劾が目的ではなくて、なぜサイテーになったのか、その原因、遠因を親子関係に眼を向けることで探る、という形になっている)
その“親子関係”に眼を向けてみれば、今に通じる関係性が、次から次へと出てくる。折しも千年紀。なにやら因縁めいたものを感じるほど。(そういう意味では、やはり源氏物語は、永遠に残りうる文学なんだなぁと認識を新たにした。)
元来、恋愛を主体とした小説は苦手で、そうした視点で読むと、源氏物語ほどサイテーなストーリー、登場人物はない。(だからこそ、長らく、ちゃんと読まなくちゃな~と思いつつ、つまみ読みしかできなかったのだけど)
だが、主要キャラクターに、親から受けた影響、環境といったものを配置してみると、紫式部の人間への深い考察が浮かび上がってくる。すごい。
私は図書館で単行本のほうを読んだのだけど、文庫版は表紙が違うのね。イメージもずいぶん、違ってくるなぁ。
★キーワード:源氏の男はみんなサイテー (ちくま文庫)
大塚ひかりさんの訳した源氏物語。今は2巻まで出ている様子。最終刊が出るのは来年の秋~夏だったかな? とにかくそれくらいまでかかるようです。
★キーワード:源氏物語〈第1巻〉桐壺~賢木 (ちくま文庫)
『源氏物語の時代』 [論説本]
今朝は寒かった。室内の温度計で20度を少し切るくらいを指していたけれど、体感温度は10度、といったところ。襟元をはだけていると、よけいに寒さを感じ、思わず室内で(薄いウールのものだけど)マフラーを巻いてしまった。
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★キーワード:源氏物語の時代―一条天皇と后たちのものがたり (朝日選書 820)
源氏物語の有名な1シーンに「雨夜の品定め」がある。
当時の男性の、少なくとも貴族社会における女性観が透けて見える場面と習った。
少し前に通っていたエッセイ教室の講師は、自分がフェミニストだからか、平安の貴族社会が女系で、女性にとってはそれほど悪い時代ではなかったようなことを、よく語っていた。
が、これを読むと、到底そうは思えない。(いや、原作を読んでも、そんな風には思えず、心の中で反発していたものだった)
“通い婚”も、現代女性が相手の男性の家に入らなければならないという視点からは、良さそうに見える。
けれど、何度か通ってもらって、ようやく婚姻成立。良いと思われなくて、“やり逃げ”されたら、それでおしまい。通ってくる男性も、自分から求めるわけではなくて、大抵は“やり手の女房”の手引きで決まる。
つまり、女性は、自分が信頼している(はずの)女房によって、結婚相手を決められるのだ。(相手の男性は、相手の女性の女房を手なずければオーケイということ)
完全なる受動態。
講師は、女性が男性の「家に嫁ぐ」ことで、生まれ育った環境から寸断されること、舅姑の面倒を見させられたりと、家政婦的な要素があることを理由に、「通い婚」も悪くないとしていたのだが、女性から言わせれば、どちらも同じ。
比較すること自体が陳腐な、女性にとっては苦痛の伴う制度であることは間違いない。
なんだか愚痴みたいになってしまった。肝心の“一条天皇と中宮の関係”について、書く余裕がなくなってしまった。また次の機会に。
『ウェブ進化論』 やっと読了 [論説本]
どこかに、グーグルについて書かれた本、といった紹介があったので、最近、次から次へと出されるサービスについて詳細が述べられているのかと思いきや、全く違った。
Googleをネタにして、いわゆる「Web 2.0」と言われる、インターネットの新しいテクノロジーや思考形態を、易しく解説してくれる本だった。
「Web 2.0」とはなんぞや? と思っていた私には、すとんと胸に落ちる内容。
ネットの「こちら側」と「あちら側」といった巧みな比喩を使って、わかりやすく解説してくれている。
もちろん、「こちら側」が「Web 1.0」、「あちら側」が「Web 2.0」。
いってみれば、実際に物品を扱ったり、物作りに励んだりするのが「こちら側」のビジネス・モデル。物品を扱うにしても、アフィリエイトのような形で自分は実際にタッチしないでもビジネスになる、といったタイプのものが「あちら側」。
もちろん、アフィリエイトだけでなく、未知のタイプが、これから続々出てくるはず、だそうな。
それを支えるのが「オープンソース」である、と筆者は言う。
リナックスが大きくなったのもオープンソースだったから。
グーグルがマイクロソフトに潰されなかったのも、オープンソースという新しい形態だったため、ビル・ゲイツが手を出せなかった(どう攻めていいか、わからなかった?)というから楽しい。
とはいえ、筆者のように、わが日本を振り返って見ると、やっぱり「最新の技術」はアメリカから出てくるのか、と溜息を禁じ得ないのもたしか。
先日、日本で「官民挙げてのGoogleに対抗できる検索技術(サイト)を確立する組織が立ち上がった」というニュースが流れていた。
検索サイト? と思ったのだけど、この本を読むと、日本のITに関わる人びとが、Googleを脅威に感じ、遅れてはならじ、という気に、やっとなったのか、と納得する。
でも、検索サイト? という思いは変わらないのだけどね。
もちろん、名称はどうでも、とにかくGoogle(や、最近のAmazon)のやろうとしていることを、“マイクロソフトに一社独占された”轍を踏まないように、後追いにならないように、漸く起動させた、というべきか。
かつての「トロン」のように、国内の先進的な技術でありながら見捨てる、なんてことを繰り返さないように、きっちりやってもらいたいモンです。
(まぁ、意外なところにトロン・システムが使われている、とは聞いてますけどね)
いや、すでに筆者が、シリコン・バレーを中心として、動きはじめているそうで、頼もしい限り。
官民一体といっても、お役人(あるいは政治家?)がからむと……。やっぱり、モチベーションを持った民間人のほうが頼りになりそう。頑張ってほしいですね。
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『生き延びるための思想』 [論説本]
「なでしこジャパン」がまだアマチュアで、頑張ってはいるけど、いつも“男の”日本代表の添え物的な扱いなのは、やっぱり永の差別が影響してる。「共同参画」は、本当に始まったばかりなんだ、って思う。それなのに、もう「反動」が起きて、“ジェンダー・フリー”教育は、荒波を被ってるようす。
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『子守り唄の誕生』 [論説本]
赤坂 憲雄
少し前に、放送禁止歌についての本が出ていた。そのとき、「イムジン河」と並んで、放送禁止だったんだと知った(正確には、放送関係者の自主規制)のが、「竹田の子守歌」。
元歌が、京都に存在した部落にからむとのことで、レコードをかけるラジオ局、レコード会社等から自主規制されたと、後々に知った。
「赤い鳥」がこの歌を出したころ、私は中学生。日本の子守歌には珍しい(と感じた)マイナーではなくメジャーな曲調で、妙に気に入って、始終、口ずさんでいた。雑誌の「明星」の付録についてた歌謡曲集から切り抜いた楽譜をファイルに挟んで、電子オルガンで弾いたりしていた。
(この楽譜、かなり長いこと、大事にしていたのだけど、結婚で実家を出てから、どこへ行ったかわからなくなった……)
この本は、そうした子守唄に着目して、いわれなどを探っているらしい。
いや、「竹田~」や、「五木の~」がそうであるように、子守りをしている少女自身を慰撫する守り子唄、を論じたもの、と書評にはあった。
「竹田~」に関する本も読んでみたいなぁと思っていたので、これも併せて取り寄せてみようかな。
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『子守り唄の誕生』