『黄色い目の魚』佐藤多佳子 [児童書、YA]
佐藤 多佳子
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文庫本になったと言えば、この本もなりましたね。
私は話題になっているときに単行本で買って、「これはオーケイ♪」と思いましたです。(以前にエントリーで書いたと思ったのだけど、まだだった……)
(単行本)
短編集で、主人公は同じ。登場人物によって主語が入れ替わることはあるけど、基本的に「みのり」ちゃんが主役。
この作者は『サマータイム』とか、ちょくちょく読んでるけど、どちらかと言えばファンタジーっぽい、ほんわかとしたお話を書く人、という印象があった。それが、この作品では、おなじ青春物でも、きっちりとしたリアルな人間関係や物語を描いている。
でも、文章はあったかく優しく(易しい、じゃないですよ)、すんなりと胸に落ちてくる。
先日のエントリーに書いた『蹴りたい~』は、たしかに芥川賞に匹敵するだけの、現実的な人間心理が描かれていたかもしれないけど、(私には)正直、シンドイ。もうこれ以上、人間のドロドロとした精神や顔なんて見たくないし、卑屈さ歪さなんて、今さら教えてほしくもない。
そんな気持ちでいる者にとって、『黄色い目~』の持つ爽やかさは貴重だと思う。
といって、おとぎ話が書いてあるわけじゃない。なんていうか、“ひねくれてない(いや、多少ひねくれてても)、ちゃんと生きていこうとしている人間たち”が出てくるので、それだけで安心できるのだ。
ああ、世の中も捨てたものじゃないなぁ、と。
余談だけど、昔は、本屋で立ち読み、図書館で読んでから、実際に買って手元に置く、なんて二度手間なことをしていたんですが、ネット書店ができてから、どうも“衝動買い”が多くなって。
リアル書店だと、手にとってパラパラめくって、値段を見て、お財布と相談して、買おうか買うまいか決める。その段階を経た手順が、ネットだとすっとばしになってしまう。
そんなこんなで、「シマッタ……」と思う本が増えてしまった。そのくせ、肝心の、「これは絶対、買おう」と決めたはずの本を、未だに注文してなかったり。
とはいえ、今日、書いた本は、オススメです。
とくに、いわゆる純ブンガクの、ちょい重い暗めの描写が苦手な人にとっては。(^_^;
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