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 『サマーウォーズ』 [映画]





 娘にせがまれ?映画館へ。受験生のくせに……と言いたいのを堪え。お盆ということもあって、誘う相手がいなかったらしい。こちらとしては、山下達郎がエンドロール・タイトルソングを歌っている、ということもオーケイする要因だったかも(苦笑)。


サマーウォーズ オリジナル・サウンドトラックs

 少し前に「こんな映画」と見せられたポスターの絵柄といい、あらすじといい、(こういう映画なんだろうな)と予想していた通りの内容、展開、ツボ、オチ、の作品だった。

 ということは、あまりアッと驚くどんでん返しや新鮮さが無かった、とも言える。

 なんというか、宮崎さんの『ポ~ニョポ~ニョポニョさかなの子~』を見たときの、片時も眼が離せない、何処へ観客を連れて行くのかてんで予想が付かないストーリー展開、あっと驚く登場人物、といった“センスオブワンダー”感はゼロに等しい。

 かといって面白くなかったかと言えば、そんなことはなく、そこそこ楽しめた。

 まぁ、ある意味、予定調和というか。

 全面に性善説を打ち出して、日本は平和だなぁというか。


 今という時代に、若者に大人が言いたいこと、伝えたいことは、こういうことなんだろうな、それを分かり易く取っつきやすい形で示した作品、と言えるかも。(監督の細田氏はいくつなんだろう? 年代は?)


 ただ……、ちょっとその田舎の大家族、に言及させてもらえれば。

 そうした人間関係の良い面が、現在の個々人がバラバラになったような時代、状況に必要では、という訴えは分かる。けれども、その“田舎”で――ちょうどお盆、帰省の時期だなぁ――、いわばこき使われる“嫁”の立場である私には、素直に頷きかねる点が、多々。

 都会で育つ子どもにとっては、そうした大人数、大家族の中へ放り込まれる経験というのは必要なんだろう、と頭では理解できても、“嫁”としてそこへ行く者としては、なるべく避けたい場所なのだ。

 とは、男性の監督には理解しがたいんだろうな……。*1

 これ以上、続けると別の問題に入っていってしまうので、このくらいにしておくけれども。これを「気持ちのいい映画だった」「泣けた~」と言っていられるのは、そうしたしがらみのない、しがらみを体験したことのない若い人たちなんだろうな、とは思った。



 物語に戻れば。

★DEEP FOREST/幻影の構成

 ↑こちら様が書かれているように、これは『ウォーゲーム』だ~と私も思いました。

 ウェブのすべてをOZシステムが担っているところは、少し前のマイクロソフト独占、のイメージかな。せっかくのWebも1社?が独占してしまうと脆い、というのは皮肉のつもりでしょうか。


 OZ=オズと聞くと、つい樹なつみさんの、そのものズバリの『OZ』を思い出してしまう。この映画のOZワールド、ヴァーチャルな世界の表現は、色合いも造形も可愛らしく、すんなり受け止められそう。――ネットで検索したら、『デジモン・アドベンチャー』というキーワードがちらほら――ああ、なるほど。

 “敵”と化したプログラムと闘うアイテムが花札、というのも、イメージ造形的に美しく、日本人であること、の心性をくすぐる。


 その電脳世界にアクセスするのに、キーボードとケータイなの? と娘が訊いてきた。まぁその辺は、現在と同時代という設定で、わかりやすさを優先したのでは。

 ちなみに映画『JM』でキアヌは(役名忘れた)、頭に埋め込んだソケットに直接、コンピューターを繋いで、デジタル世界にジャックイン、キーを開ける、扉を開く、というイメージを手で操作していたけれど、作品内の時代が違うということ、映画の視聴者のターゲットが違う、ということでしょうね。



 まぁ、あちこち突っ込みどころ満載ではあるのだけれど――いくら問題のプログラムを作ったのが身内だとしても、何故、長野の山中の陣内家“だけ”に関わってくるのかとか、肝心の“泣き”のエピソード、脇腹の子、侘助を引き取った若い栄さんの元で、なぜ侘助が横道へそれていってしまったのか、とか、細部の説明がやや薄いけれども、キリがないので単純に青春映画として楽しむこと。これが一番、かな。

 OZでのバトルシーンも、可愛らしいアバター(と、毒々しい敵プログラム)のおかげで、気持ちよく見ていられる(?)し。


 あと、こちらも何かと論議になっているようすの“声”。

 近ごろの若い声優さんたちの――女声というか少女役の人の、妙に甲高くおもねるような、男声も妙にイケメンを表現してる風?の作り声――つまりステレオタイプな役柄声に飽き飽きしている者としては、俳優さんたちの自然な喋りは、非常に好感が持てました。

 映画として楽しめた要因の――充分すぎる一つ、でもあったと思います。



僕らの夏の夢/ミューズ

僕らの夏の夢/ミューズ


*1:と書きましたが、この陣内家に集まってくるのは娘とその子どもたち、つまり女性たちが中心でしたね。



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