『解決浪漫倶楽部』遠藤淑子 著 [コミックス]
この人の名前を本屋の棚で見つけると、ついつい手が伸びてしまいます。
同じ白泉社でも、近ごろは、花ゆめではなくジェッツ・コミックスから出てるんですね。
のちに文庫でまとめる予定、ってことかな。
なんて勘ぐってしまいます。というのも、タイトルにもなってる作品が、連作で4作入っているんですが、他に短編が2編、「スマリ」シリーズが1編(番外編扱いだけど)、というように、選別がちょっとバラバラ。
ファンとしては早く読みたいけれど、もう少しまとまってから一冊にして欲しいなぁ、という気持ちも湧いてしまう……。
そのほうが、もっと気持ちが入り込める気がするんだけど。
エヴァンジェリン姫の活躍する『王室スキャンダル騒動』のころから、ヘタウマ的と言われた絵柄と、強烈なギャグの、妙なマッチぶり。この独特な味が好きだった私としては――といっても、子育てが入ったりして、順調に?発表順に読んできたとは言えない。
フツーの(?)コミックスと、文庫版で出たものと、ごちゃごちゃにして後追いしてきたから、リアル・タイムで読むと、そんな風に感じるのかなぁ。
そうは言っても、個性的なギャグのセンスは相変わらずで、ハマる人は填ると思う。男性にも受ける、ぜひ読んで欲しい、という意味での、ジェッツ・コミックス版でしょうかね。
タイトルから想像がつくように、大正時代を背景として、社会のあり方、その中であがく人間たち(とくに女性)が、笑いの対象になる。いや、笑いの対象は、一応、主人公の“万里小路空子(まりのこうじ たかこ)”なんだけど。
と書いてきて、これまでの彼女の“時代物”とは、微妙に味わいが違ってきてるのかな。
問題意識とでもいいましょうか、それがたまに、物語の流れを止める役目をしてる感がないでもないけど……。作品発表の舞台が変わってきてるように、作者も少しずつ、変化してきてるのかもしれませんね。