『黄泉がえり』 [映画]
もう遙か昔(?)、2003年の作品なんですね。私はやっとレンタルで見ました。
- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2003/08/21
- メディア: DVD
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なかなか泣ける話です。
“セカチュー”から始まった純愛ブームに乗って(?)出てきた作品かと思いきや、話はかっちり、きっちりしていてハマりました。
――と思ったら、原作、カジシンこと梶尾真治だったんですね。忘れてました。この作家さんは、『地球はプレイン・ヨーグルト』みたいな笑える話も書くけれど、この『黄泉がえり』のような、ちょっと切ない話も得意で、結構、好きでした。
と過去形になるのは、最近は、あまり読んでないから。(汗)
SF的な設定や説明が出てくるのは、SF作家たるゆえんでしょうか。でも、プロパー作家だけに、いい加減な描写でごまかすことはなく、謎解きを科学的にしてくれることもないけど、納得できる締めです。
というより、原作の小説のほうにはないらしいんですが、隕石(か何か)の落ちた穴から出ている波長が、心臓のように脈打っている――あるいは、お母さんのお腹の中にいる赤ちゃんの心臓の動きを、超音波画像で見ているような――シーンは、ゾクゾク来てしまったし。……それは、私がSF者だから?(汗)
もともと、死んだ者が甦るなんて、あり得ない話。でも、それだけで引っ張らない。え? というような、ミステリー的な筋運びが、すごく効いていると思います。しっかり、騙されましたしね。ちゃんと伏線めいたものが張ってあるのに。オープニングに出てくる「死んだと思われていた女性シンガーのRUIが~」という、ラジオから流れてきたDJの言葉にも、コロッと騙されたし。
おかしいなぁ。ミステリーの犯人当てには強いはずなのに。(^_^;
まぁ、近ごろの草〓剛クンが好きなので見たかった作品でもあるんですけど、予想していた以上の出来でしたね。とくに――今さらなんですが――柴咲コウ扮するRUIの歌に、思いっきりハマってしまったし。「月のしずく」もいいけど、私はRUIが最初に歌う曲が好き。
ずーんと腹に響いてくる、少し和風なリズム(というか、アフリカ的というか)と、万葉集のような、古めかしい言葉を連ねた歌詞が、九州は熊本という、いかにも太古に繋がりそうな場所とマッチして、いい感じ。それに、これは大事なことだけど、柴咲コウって、歌うまい。(セカチューで実証済みか――って、こちらのほうが後だっけ)
原作を読んでないので、映画で感じたことしか言えないけど、これは完全に「伊邪那岐、伊邪那美の神話」を下敷きにしてますよね。ギリシャでいえば、オルフェウス。
と、言ってみれば音楽にやられて気に入ってしまった面もなきにしもあらず、なんですが、よくよく振り返ってみれば、人の描き方、場面の作り方自体が、RUIの歌う歌詞のように詩的。
ラストにビックリさせられながら、でも結末のわかっている物語で泣けた。
切なくて、もう一度、見たいとは思わないけど。
オンライン・レンタルの順番を待っているうちに、廉価版のDVDが出ることになったみたい。
DVDirectの「黄泉がえり」スタンダード・エディション紹介ページ
原作:
- 作者: 梶尾真治
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/11
- メディア: 文庫
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単行本:
- 作者: 梶尾真治
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2000/10
- メディア: 単行本
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「参考にさせてもらいました」サイト:帳場の山下さん